ターンオーバー!!パート2

前回の続きです!



角質除去効果があるとすれば、それはターンオーバーが理想よりも早まりやすいという日本人の肌には、合っていないということになります。AHA(フルーツ酸)やBHAサリチル酸尿素。これらの成分が高配合の化粧品を使われると、頬に赤みが出て、どんどん乾燥しやすくなるというわけ。

しかし、実際に当店で売られている化粧品を良く調べると、面白いことが分かりました。例えばTMG(トリメチルグリシン)などの保湿成分に「角質クリア効果」があると表記されている場合が多いのです。「角質クリア成分」つまりは角質を保湿して、透明感をもたらせる成分のことであって、決して角質除去成分ではなかったりしているのです。柔軟化粧水などに、角質クリア成分配合だとか、角質ケア成分配合となっているのは、良く調べると角質除去効果はないことが分かりましたので安心してご使用ください。

また、大手メーカーから出されているクリアローションの角質除去効果は非常に弱く、さほど大きな皮膚障害になる可能性も低いでしょう。むしろ肌がガサついて、ファンデーションの乗りが悪い時など、朝に一時的に使用する場合は、非常に便利な物と言うべきでしょう。

しかし、間違ったアドバイスのもと、本気で一生懸命に洗顔をしてしまったり、長い時間クレンジングをしたり、化粧水をコットンでゴシゴシしてしまえば、明らかに必要な角質を取りすぎてしまいますので注意いたしましょう。

さらにまずい例としては、角質除去効果が高すぎて、スキンケアとしては許可されていない成分「尿素」配合の化粧水を、自分で作るなんていうのが流行っていることです。さらには、尿素配合のハンドクリームを、お顔に付けてしまうという勇者まで現れております。めがね拭きのクロスで擦り洗いして、ひりひりして懲りた方もいらっしゃると思いますが、一時期のブームで終わることを願うばかりです。



「遅れがちなターンオーバーを早める」は大ウソだった!?

大人のニキビで悩んでいる人などは「私は代謝リズムが遅れがちだから・・・」と言い、角質ケアでターンオーバーを早めようとしている。しかし、あるメーカーの膨大な肌データをのぞいてみると、ターンオーバーが遅いのは、70代以上のお年寄り以外はめったにいないという。むしろ20代、30代には、「早すぎる人」が圧倒的に多いのだ。早すぎるから、未成熟な細胞がたくさん生まれ、バリア機能が低下するから、水分保持力も低下。外的刺激を受けやすくなるから、ニキビもあるのに肌アレもあり、過敏にもなりやすいという三重苦に悩んだりするのである。

 

ともかく遅すぎもまずいが、早すぎるのは細胞が育たないうちに表に出てきてしまうから、もっとまずいというわけ。角質ケアなどで、遅れがちなターンオーバーを早めるという考え方そのものが間違いだったってことだろうか。今の角質ケアは、表皮のデスモゾームという角質同士をくっつける接着剤を、正常なものにするという発想が主流となっている。表面の古い角質を「はくり」するという、角質ケアの初期の頃の考え方は、しだいにデスモゾームへのアプローチに変わっていくはず。ピーリングなども、本当に信頼のおける医師の手でなされるもの以外は、なくなっていくのかもしれない。



2年ほど前の冬、私の肌にとんでもない事件が起きた。外出先から帰って、鏡を見ると肌が真っ黒。いや、今まで見たことがない、赤黒い肌になっていたのだ。しばらくすると肌色は元に戻るが、これは冬場によくありがちな寒さからくる肌色変化ではないことを直感する。寒いと毛細血管が縮こまって、ホッペがまっ赤になるのとは基本的に違う・・・・・。ちょっとでも冷たい風に触れると、ほぼ瞬間的に赤黒くなる「体質」に変わっていたのだ。確かにその頃、外に出ると肌の芯が直に外気に触れるような感じがしていた。だから理由はすぐに判明した。「角質ケア」のやりすぎである。

当時、いわゆる「AHAもの」「フルーツ酸もの」が続々デビュー。片っ端から使って、どれがイチバンつるつるになるか、なんてことを試していたから、古い角質を取り除くばかりか、本来あるべき形のターンオーバーのリズムを、いたずらに速めていたに違いない。当然、角質層は薄くなる。正常な角質層が、肌内部を外気から守る「バリア」の役割を果たしているのはご存じの通りだが、そのバリアがなくなったような状態では、冷気をモロに受けて、肌が極度の刺激を受けるのは目に見えている。

そもそもバリアは水分を抱え込み、潤いやしなやかさはもちろん、それで透明感や肌の明るさを作っているわけで、当時の私の肌は、そういう見た目の美しさの元になる膜がない、丸裸の状態になっていたと考えられる。だから冷気に触れると、いきなり真皮で血行が滞り、うっ血したような状態が「丸見え」になっていたわけだ。その日から、角質ケアをしばらくやめ、バリア層を回復させて事なきを得たけれど、今考えると恐ろしい。そこそこの角質ケアは必要だが、やりすぎは肌を根本からダメにする。くれぐれもご用心。



それではまた!!