ダイエット!重要事項

ダイエットは「約60%」がリバウンドを経験

リバウンドは、本来「跳ね返り」という意味の言葉です。バスケットボールで、シュートミスをしたときに、ボード(ゴール板)やリングにはじかれて、跳ね返ったボールを「リバウンド」と呼ぶのによく使います。
医学の分野においては、治療や投薬を行ったあとに、治療以前よりも症状が悪くなった状態を「リバウンド」と呼んでいます。

一方、美容の分野では、ダイエットに励み、目標体重に到達したあとで、普段通りの食生活に戻すと、「ふたたび同じ体重に戻ってしまう(あるいは、それ以上に増えてしまう)状態」をいいます。つまり、うんざりするような現象です。それでも、ダイエットを実践した人の「約60%」がリバウンドを経験していると言われています。

なぜ、リバウンドをくり返すと「痩せにくくなる」の?

リバウンドはめずらしい現象ではありませんが、ダイエットのたびに起こる人は、注意が必要です。なぜなら、ダイエットとリバウンドをくり返していると「痩せにくい体質」になる恐れがあるからです。

食事制限を行ったときに、「体重は減っても体脂肪率は減っていない」という現象が見られるようなら、自分の体質が変化しているかもしれません。
これには「代謝の低下」が関係しています。食事制限を中心に行うダイエットの場合、一般的に栄養(糖質)が不足がちになり、体はいわゆる「飢餓状態」におちいります。

糖質は、脳や体を動かすための重要なエネルギー源です。そこで、私たちの体は、飢餓状態を脱するために、筋肉などに含まれているグリコーゲン(ブドウ糖)を分解して、エネルギーを補います。
しかし、その分、筋肉量は減少します。

飢餓状態にある体では、1週間で約2kgの筋肉量が失われるといわれています。
筋肉量が減少すると、1日に消費できるカロリー量はもちろん低下します。
そのため、脂肪が燃焼されにくく、体は徐々に「痩せにくい体質」に変化してしまいます。すると、消費カロリーよりも、摂取カロリーが上回るため、わずかな食事でも太りやすくなるのです。



リバウンドが起こる「2つ」の大きな原因

ダイエットでの「リバウンド」を防ぐには、その原因となる、次の2つのメカニズムについて、知っておくことが大事です。2つの仕組みが分かると、体に無理を強いて行うダイエットがいかに非効率であるかが納得できます。
効果的なダイエットがしやすくなり、リバウンドの体験は遠ざかることでしょう。
(1)栄養不足で働く「ホメオスタシス」機能
(2)満腹中枢を刺激する「レプチン」の減少

栄養不足で働く「ホメオスタシス」機能

ホメオスタシス」とは、環境が変化しても、自律神経などによって、自分の体の状態を一定に保とうとする働きです。
「生体恒常性維持」とも呼ばれています。ダイエットによって、体に摂取される栄養が制限された場合、自らのエネルギー消費を低下させて、体調を維持させようとする機能です。

ダイエットでは、食事が制限されているため、体は自動的にエネルギーの活動量を抑えてしまいます。エネルギーの消費が抑えられるため、脂肪を燃焼する機会も少なくなり、かえって体重は減りにくくなります。
ホメオスタシは、消費エネルギーよりも摂取エネルギーが少ないことで働きます。特に、急な食事制限を始めると、その働きは強くなります。

ダイエット期間中に、順調に下がっていた体重が、あるとき急に停滞することがあります。停滞期が起こるのは、ホメオスタシス機能が働くからです。そして、ダイエットが終了(あるいは中断)してからも、ホメオスタシスの働きはしばらく続きます(ここがポイントです!)。
そのため、体の消費エネルギーが低下したままで、普段の食生活に戻すと、消費エネルギーよりも摂取エネルギーが上回り、体に余分な脂肪が蓄積されることになります。

満腹中枢を刺激する「レプチン」の減少

食事を摂ると、「レプチン」と呼ばれる物質が分泌され、脳にある「満腹中枢」を刺激して満腹感が得られます。気持ちよく「ごちそうさま」と言えるのは、レプチンがあるからです。さて、ダイエットで食事を制限すると、レプチンの分量は減少します。
すると、食事をしても満腹感がなかなか得られなくなります。

ホメオスタシスと同じように、ダイエットが終了(あるいは中断)してからも、レプチンの分泌量が正常に戻るには時間がかかります。
正常な分泌量に戻るには、約1ヶ月は必要といわれています。
その1ヶ月のあいだが要注意です。食べ物を摂取しても満足感が得られないため、つい食べ過ぎてしまい、あっというまに「リバウンド」が起こります。

「リバウンドを防ぐ」には

 

ホメオスタシスの機能は、1ヶ月に5%以上体重が減少すると、最大限に発揮されます。そのため、急激な食事制限は控えましょう。
ホメオスタシス機能がすぐさま作動し、かえって痩せにくくなります。
また体調を崩す原因にもなります。


 

また、レプチンの分泌量が回復するまでのあいだ(約1ヶ月)の食生活にも十分な配慮が必要です。
ダイエット終了後は、食生活をすぐ戻すのではなく、長い期間(約1ヶ月)をかけて、少しずつ体の様子を確認しながら、その量や内容を見直し、体の調子に合わせて食べ物を摂取することが大事です。
その取り組みが、リバウンドの防止につながります。